あなたは80歳まで
20本の歯を残せますか?
自分の歯で噛み、好きなものを何でも食べるためには、20本以上の歯が必要だとされています。“80歳になっても20本以上自分の歯を保とう”という運動が、厚生労働省と日本歯科医師会により提唱されていますが、2011年の達成者の割合は初めて40%を超えました。
しかし、1人平均現在歯数は75~79歳で15.6本、80~84歳で12.2本と、何でも噛むのに十分なだけ歯を残せていない人も多いというのが実情でしょう。
8020達成者の割合は高まってきてはいますが、多くの歯を失っている人もいます。何もせずに歯を残せるわけではないのです。
年齢 | 平成11年 | 平成17年 | 平成23年 |
---|---|---|---|
75~79歳 | 1人平均現在歯数 | ||
9本 | 10.7本 | 15.6本 | |
20本以上を有するものの割合 | |||
17.5% | 27.1% | 47.6% | |
80~84歳 | 1人平均現在歯数 | ||
7.4本 | 8.9本 | 12.2本 | |
20本以上を有するものの割合 | |||
13% | 21.1% | 28.9% |
歯を残すために今からできること
歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病です。将来に多くの歯を残すためには、虫歯や歯周病を効果的に予防することが必要となります。
虫歯になって、歯を削り、被せ物をして噛めるようになると、「虫歯は治った」と思ってしまうかもしれません。しかし、治療済の歯は、再発のリスクが高く、重症化しやすくなります。そして、再発を繰り返すうちに、歯の喪失を招いてしまうのです。
歯医者に対して、「歯が痛くなったら行くところ」という認識を持っている人は少なくありません。しかし、歯が痛くなった頃には、病気は既に進行しています。
病気が発生して治療が必要にならないように、予防を目的とした治療(メンテナンス)が必要です。
虫歯になって、治療を行っても元の健康な状態に戻せるわけではありません。治療が必要とならないように、予防を目的とした歯科受診が大切なのです。
大人の9割が虫歯を経験しています
平成17年度 歯科疾患実態調査によれば、成人の9割が虫歯になった経験があるとされています。実際に、「虫歯になったことがある」ということは珍しいことではなく、「大人になっても虫歯になったことがない」という人の方が珍しいと思う人が多いでしょう。
先にもありましたが、虫歯は再発リスクが高いです。そのため、虫歯になったことのある人は、さらに十分な予防が必要となります。虫歯が進行して根の治療を施した歯・神経をとった歯は、大きなダメージを受けていて、失うリスクが高い状態です。また、小さな虫歯であっても治療済の歯は、神経に達するような虫歯に進行するリスクが高い状態だと言えるでしょう。
「虫歯は子供の方が多い」と認識している人も少なくありませんが、大人も虫歯になります。子供の頃に虫歯になった本数が多いほど、将来再発するリスクが高いため、効果的予防が必要です。
効果的に病気を発症・再発を防ぎましょう
健診などで虫歯が見つかると、「早く虫歯が見つかって良かった」と思うかもしれません。早期発見・早期治療は、確かに大切なことです。しかし、将来に多くの歯を残すには、病気を発生・再発させないことが大切です。
定期的に歯医者を受診している方は、「虫歯がないか診てもらう」のではなく、「虫歯にならない口腔内環境をつくる」ことを目的に受診することが大切でしょう。
当院では、お口の汚れを徹底的に除去し、噛み合わせを整え、ブラッシング指導や生活指導を行い、病気の発生リスクを低減するサポートを行います。病気のリスクは人によって違うため、リスクに応じた予防が効果を高めます。
科学的根拠に基づく予防が必要です
虫歯・歯周病の根本の原因は、プラーク(細菌)です。そのため、患者様がご自身で行う歯磨きは、予防の基本となります。しかし、病気の発生に関わるさまざまな要因にアプローチすることやブラッシングの質を高めること、歯磨きでは落とせない汚れを除去することなどが、確実性の高い予防には必要です。
当院で行う予防歯科診療は、ただ単にクリーニングを行うだけではありません。唾液検査をはじめとする検査により、患者様のお口の中の状態やリスクを把握し、患者様に最適な治療・メンテナンスをご提案します。
「歯が痛くもないのに歯医者に行くなんて…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、予防を目的とした受診は、病気の治療とは異なり、歯や体に負担をかけません。気楽な気持ちで施術を受けていただけます。多くの患者様から、「口の中がスッキリした」「歯がツルツルになった」なという声をいただいています。
予防歯科って何をする?
「痛くもないのに治療をするのは嫌だ」と思う方も多いかもしれません。しかし、予防歯科では病気の原因を取除く施術を行うため、負担のかかる治療は行いません。 主に、次に紹介するような検査やクリーニング、指導などを行っていきます。
病気の原因を明確にすることで最適な予防が可能に
- 虫歯や歯周病の原因となるのは、プラークの中に棲んでいる細菌です。しかし、細菌への感染リスクはその人によって異なります。虫歯になりやすい人と虫歯になりにくい人がいますが、これは歯の質だけでなく、唾液の量や質、口の中に存在する細菌の数など、さまざまな感染リスクが大きく影響しているのです。
唾液検査など、口の中をより詳しく調べることによって、その人に合った効果的な予防方法を明確にできます。
プロの手で行う徹底的なクリーニング
- 病気の原因となるプラークは誰にでもできるものですが、1mgで1億もの細菌を含むとされ、病気や口臭などさまざまなトラブルを引き起こす原因となります。
プラークは日々のブラッシングで除去できますが、どうしても磨き残しが出てしまいます。ブラッシングだけでは全ての汚れを除去するのは困難であり、取り残しができてしまうのです。
その磨き残しによって病気が発生しないように、プロの手で徹底的にクリーニング(PMTC)を行います。
ブラッシング指導でセルフケアの質を高める
- 毎日行う歯磨きは、虫歯・歯周病予防の基本です。しかし、「毎日歯磨きしているのに、虫歯になってしまう」という方はとても多いです。毎日のブラッシングの質を高め、より効果的に虫歯や歯周病を防ぐことができるよう、正しい歯磨きの方法をご指導します。
丁寧に磨いているつもりでも、磨き方に癖がついてしまっていたり、歯ブラシがきちんと当たっていない場所があったり、磨き残しになりやすい場所があるものです。歯の磨き方について、見直すことは大切なことです。