リスクがわかれば
効果的予防が可能になります
効果的に虫歯を防ぐには、人によって異なる虫歯の原因をつきとめることが必要となります。虫歯になるのは、「磨き残しが多いから」「歯が弱いから」などと思っている人も多いのですが、以下の要因も虫歯の発生リスクを高めます。
- 唾液の分泌量が不足している
- 唾液が持つ口の中を中和させる働きが弱い
- 口の中に存在する細菌の数が多い
本当の虫歯の原因は、患者様ご自身では気付きにくいものです。しかし、検査を行うことによって、細菌レベルで虫歯リスクを把握でき、効果的な予防が可能となります。
唾液検査とは?
What is saliva test?
唾液検査とは、「虫歯になりやすさ」を調べる検査であり、お口の中の細菌数や唾液の質・量を調べます。
虫歯の原因はプラーク内に潜む細菌ですが、細菌数や唾液の質・量は「感染しやすいかどうか」に大きく影響しているのです。これらを知ることによってリスクに応じた予防が可能となり、予防効果を高めることができます。
唾液検査でわかること
- 唾液の
分泌量 - 唾液の分泌量には個人差があります。唾液には汚れを洗い流す働きや歯を強くする働き、抗菌作用などがあり、分泌量が少ないと、これらの働きが弱まって虫歯に感染しやすくなってしまいます。
- 唾液の質
(唾液緩衝能) - 口の中が酸性に傾くと虫歯になりやすくなりますが、唾液には口の中を中和させ、虫歯になりにくい環境を作る働き(唾液緩衝能)があります。この中和させる能力が低いと、虫歯になりやすくなります。
- 口の中の
細菌数 - 口の中の細菌数は人によって違います。虫歯の原因細菌が多く存在していると、その分虫歯になりやすくなります。虫歯の発生に関与するのが「ミュータンス菌」、進行に関与するのが「ラクトバチラス菌」です。
唾液検査の方法
唾液検査は、次のような流れで行っていきます。ガムを噛んだりするだけなので、痛みはなく単時間で終了します。
-
唾液を採取して分泌量を調べます
リラックスした状態で味のないガムを5分間噛み、唾液を採取します。
検査前の1時間は、飲食・タバコ・歯磨きを控えてください。 -
緩衝能を判定します
検査用紙に採取した唾液をつけて、緩衝能(中和力)を調べます。
検査用紙が何色に変わるかで、中和力がわかります(5分程度で結果が出ます)。 -
口の中の細菌を採取します
検査棒を舌につけて口の中の細菌を採取し、数日間培養して、ミュータンス菌の数を調べます。また、採取した唾液を培養し、ラクトバチラス菌の数を調べます。
検査結果が出るまで
ミュータンス菌とラクトバチラス菌の数を調べるには、培養が必要になります。そのため、検査当日に結果をお伝えすることはできません。
後日ご来院いただき、検査結果とともに患者様に合った予防方法についてご説明します。
こんな人に
おすすめです!
口の中のことをよく知らなければ、効果的に虫歯を防ぐことはできません。唾液検査は、全ての人におすすめしたい検査ですが、次に当てはまる人には特におすすめです。
- 毎日歯磨きしているのに虫歯になる
- 虫歯になりやすい・虫歯が多い
- 効果的に虫歯を予防したい
- 入れ歯になりたくない
- 口の中が乾きやすい、唾液の粘性が高い
毎日歯磨きをしているのに虫歯になる人もいれば、それほど歯磨きを丁寧に行っていなくても虫歯にならない人もいます。これは、虫歯リスクの違いによるものと言えるでしょう。
人によって最適な予防法は違います。リスクに応じた予防が必要であり、自分に合った予防法を知ることが、歯を守り、将来に歯を残していくために必要です。
唾液はお口の健康を
守るために大変重要です
Saliva is very important for mouth health
唾液には、消化酵素としての役割もありますが、お口の中を清潔に保ち、お口の健康を守る働きがあります。唾液を意識することなく過ごしている人が多いかもしれませんが、唾液は大変重要な働きを担っています。
唾液のお口の
健康を守働き
自浄作用
お口の中の
汚れを洗い流す
働きがあります。
歯・粘膜保護
ペリクルという
唾液タンパクが、
食品により歯や粘膜が
傷つかないように
保護します。
抗菌作用
唾液に含まれている
ラクトフェリンなどの
物質により、細菌の
働きが抑制されます。
緩衝作用
酸性に傾いた口の
中を中和し、脱灰を
防ぐ働きがあります。
再石灰化促進
脱灰が起きた歯質を
修復して元に戻す作用
(再石灰化)を促進
する働きがあります。
ストレスが多い人は特に注意が必要です
唾液の分泌量は、ストレスの影響を受けます。ストレスによって交感神経に影響が及ぶことによって、唾液分泌量が減少してしまうのです。ドライマウスの原因はさまざまですが、ストレスも原因の一つです。
唾液の分泌量が減少することによって、虫歯のリスクが高まるほか、口の中の細菌が増殖しやすくなるため、口臭や歯周病の原因にもなります。口の中がネバネバしやすい人は、唾液が不足している可能性が高いでしょう。
何らかの症状が出る前に、唾液検査で細菌レベルの予防を始めてみませんか?